株価の変化は投資家たちの心理で動きます。まったくのランダムで発現するなら予測はできませんが、過去のデータを分析するとこの後どちらの方向に動きやすいかを知ることができます。いわゆる「波動」があるからです。ただし、環境が変わる要因があったときはこれに従いませんので、そのときには早めに撤退などの対処をします。
上図は当研究会独自に株価データを分析した「株価変化のタイミング指標」です。個別銘柄に当てはめれば、その銘柄の売買タイミングの判断基準となります。また、日経平均株価などの市場を俯瞰するデータに当てはめると「市場の地合い」の良し悪しを知ることができます。
「地合い」とは、ある株銘柄や株式市場全体の相場の「状況・雰囲気・勢い」のことです。買い気が旺盛で取引が活発におこなわれていて、株価が上昇傾向にあると「地合いが良い」とか「地合いが強い」などと言います。逆に、買い気が薄く取引量が少なくて、株価が下落傾向にあると「地合いが悪い」とか「地合いが弱い」などと言います。
株式市場全体の地合いが良い(地合いが強い)ときは、株価に対する少々の悪材料(個別銘柄の業績不振や、円安・国際問題など株式市場環境のマイナス要因)が出たとしても、株価は下がりにくい状態にあります。逆に、地合いが悪い(地合いが弱い)と、個別銘柄の業績好調や新事業発表などの好材料が出ても、思いのほか株価は上がりにくくなりますし、少しの悪材料が出ただけで株価が大きく下がることになりやすいのです。
ですから、市場の地合いの良し悪しを知ることは、特に短期の株売買ではとても大切なことなのです。乱暴にいえば、地合いが良ければ無作為に銘柄を買っても平均すれば利益がでると考えられます。
株価の動き方には波動があり、個別銘柄の売買タイミングに役に立つことを解説しました。
この波動を日経平均株価に当てはめてみると、日経平均がこれから上がりそうなのか下がりそうなのか、すなわち、地合いの良し悪しのバロメーターになります。市場は生き物であり未来を予知することはできませんが、自分自身の判断の軸を持つことができます。この後、強気に攻めるか、弱気の安全策でいくかの判断基準となります。
強気の攻めとは、新たな銘柄の買いであったり、下落懸念の保有銘柄も保有し続けようと判断したりすることが挙げられます。弱気の安全策では、保有銘柄の損切り準備や利益確定売りなどで、新たな銘柄購入への資金準備期間となります。どちらで臨むかの判断基準となりますので、気分にもメリハリがつきます。
上図は2022年8月の日経平均チャートです。しばらくBoxを形成していて、上値抵抗線にさしかかった局面です。この日朝の経済ニュースでは、「やはり反落しはじめるか・うわ抜けするか」などとコメントされていましたが、このチャートをみていた我々は保有銘柄をキープすることにしました。(もちろん市場環境が急変することも想定して撤退シナリオは用意しています)。