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ローソク足チャート 複合線の読み方

ローソク足チャート 複合線の読み方

 ローソク足は1本でも重要な意味を暗示しますが、複数の線を組み合わせてみると、さらに投資家の心理や相場の流れる方向が読めてきます。 相場は常に波をうっていますが、その中で、A:間もなく上昇に転じる「底入れを暗示する足型」、B:上昇し始めの「上昇相場の幼少期に現れる足型」に分けて、昔から言われている足型のパターンを分類して、一覧で記しました。

 また、チャートの足型は「日足」、「週足」、「月足」などがありますが、ここでは「週足」を対象にして述べています。「日足」では期間が短く相場の方向性が現れにくく、「月足」では期間が長すぎて出遅れてしまうからです。

底入れを暗示するローソク足の形

A1.三空叩き込み(さんくうたたきこみ)

【足型の特徴】 下落相場の途中で、さらに悪材料出現により陰線が4連続。各陰線間は窓を開けている。
【心理状態】 狼狽した投資家は損失を食い止めようとして、寄り付きから成り行き売りを殺到させる。相場は弱気一色に。
【相場の読み方】 投げが投げを呼ぶ展開であるが、裏を返せば、買い建て玉は急激に減少していく状況で、相対的に割安な水準となる。買い建て玉が消滅後には相場は反発へ向かう。買い仕込みのチャンス。

A2.三手大陰線(さんてだいいんせん)

  【足型の特徴】 下落相場の途中で、3本連続して大陰線が出現したもの。
【心理状態】 多くの投資家は絶望感と恐怖感から買い建て玉を投げ売っている状況。
【相場の読み方】 緩やかな下落で様子を見ていたおおかた投資家は、はじめの大陰線を見て慌て始めた。しかし、投げ売ろうにも買い手がなく、大幅に下げて取引成立。こうして買い建て玉は消滅し相場は反発へ向かう。3本目の大陰線で打診買いを入れ、翌週の陽線を確認して買い増すと効果的をいわれる。買い打診の検討を。

A3.最後の抱き陰線(さいごのいだきいんせん)

  【足型の特徴】 下落相場の途中で、小陽線を大陰線が抱いたもの。前週の終値より大きく高値で寄り付いたものの、結局大幅に下落。
【心理状態】 下落相場が続いていた中、小さいながらの陽線の出現でホッとしかけたところ、翌週の大陰線で再び絶望感に見舞われている。
【相場の読み方】 ここでの小陽線は、一部の投資家の打診買いによるものと思われる。また、前週の終値を上回る値で寄り付いたということは、相場の陽転を見込み上値追いを行う投資家が相当数出てきたことを現す。相場は自律的な反発局面を迎えつつあると推測できる。買い仕込みのチャンス。

A4.明けの明星(あけのみょうじょう)

  【足型の特徴】 当該週がコマで、その前後ともに窓を開けた形を「星」という。星の出現から下落相場が上昇に転じたものを「明けの明星」という。
【心理状態】 下落相場が続き、多くの投資家は失望感をつのらせている。しかし、相場は急反発し、投資家には安堵感が戻り、次第に買い注文が集まってくる。
【相場の読み方】 いわゆる「セリングクライマックス」の典型例。更なる悪材料出現により、最後まで耐えていた投資家も投売ることとなるが、成り行き売りのため下方へ窓を開けることとなる。しかし、注目すべきは、この星がコマになっているところで、窓を開けるほど売られたにも関わらず終値は始値とあまり変わらない。これは買い建て玉の殆どが消失していることを現す。悪材料が公式に否定されると上方への窓開けとなる。買い仕込みのチャンス。

A5.捨て子底(すてごぞこ)

  【足型の特徴】 暫く続く下落相場の途中で、大陰線が出現し、翌週は窓を開けて下放たれて十字線が形成されたもの。
【心理状態】 下落相場が続いて投資家の不安感が高まる中、悪材料が出現したことでいっせいに売り注文が持ち込まれ、その結果として大陰線が形成された。さらに翌週も寄り付きから成り行き売りが殺到したことで下に窓を開けた。
【相場の読み方】 しかしながら、十字線(寄り付き値と引け値が同値)となったことは相場の底固さも示しており、新規に買いに入る投資家も現れて、市場の需給のバランスがとれたことを示している。さらに下方への窓開けが生じた時点で持ち値の悪い(高値で買ってしまった)投資家の買い建て玉はほぼ消滅したと考えられる。即ち相場は反発に向かいやすい環境である。買い仕込みのチャンス。

A6.大陰線のはらみ寄せ(だいいんせんのはらみよせ)

  【足型の特徴】 暫く続く下落相場の途中で、大陰線が出現し、翌週はその中央付近に十字線が形成されたもの。
【心理状態】 下落相場が続いて投資家の不安感が高まる中、悪材料が出現したことでいっせいに売り注文が持ち込まれ、その結果として大陰線が形成された。しかし翌週は安値を上回る値で始まり安値不安はいくぶん和らぐものの、総じて弱気である。
【相場の読み方】 前週週末に悪材料が公式に否定されるなどの結果、やや上方に寄り付いたが、十字線(寄り付き値と引け値が同値)となったことは、市場の需給のバランスがとれたことを示しており、上値追いをする投資家はまだ少ないと考えられる。この場合、翌週まで様子を見て、陽線が立てば底打ちと判断する。買い仕込みのチャンス。

A7.たくり線(たくりせん)

  【足型の特徴】 暫く続く下落相場の途中で、大陰線が出現し、翌週は窓を開けて下放たれて「陰のカラカサ」が形成されたもの。
【心理状態】 下落相場が続いて投資家の不安感が高まり、成り行き売りが殺到したことで下に窓を開けた。安値圏からは放れて引けているが、まだ下値不安は残っている。
【相場の読み方】 カラカサの現れは、寄り付き直後から大量の売り注文が持ち込まれたため早い段階で安値を更新していったが、次第に買い圧力が増してきたことを示す。下ヒゲが長いほど相場の反発力が高まってきていると考えられる。買い仕込みのチャンス。

A8.勢力線(せいりょくせん)

  【足型の特徴】 暫く続く下落相場の途中で、大陰線が出現し、翌週は窓を開けて下放たれて「陽のカラカサ」が形成されたもの。
【心理状態】 下落相場が続き、多くの投資家は失望感をつのらせていたところ、安堵感が芽生え始めている。
【相場の読み方】 更なる悪材料出現により、窓を開けて下がるが、それが公式に否定され(デマや噂であった)、もしくは悪材料の出尽くしで相場のアクが抜けたことなどから、新規の買い注文が入りやすい環境が整ったと考えられる。下ヒゲが長いほど相場の反発力が高まってきていると考えられる。買い仕込みのチャンス。

A9.陰の陰はらみ(いんのいんはらみ)

  【足型の特徴】 相場の安値圏で大陰線が出現し、翌週にその大陰線にすっぽりと小陰線が入るかたち。
【心理状態】 下落相場が続き、多くの投資家は失望感をつのらせている。前週より高い値で寄り付いたかと思えばまた下がり投資家は弱気となっている。
【相場の読み方】 投資家の投売りは一巡しており、相場は反発に向かいやすい環境になったと考えられる。安値圏で術減下場合には、買い仕込みのチャンス。

A10.放れ五手黒一本底(はなれごてくろいっぽんぞこ)

  【足型の特徴】 相場の下げ途中で、下方に窓開けが生じ、しばらく弱持合い相場が続いた後、突然上放れて寄り付き、大陰線を形成したかたち。
【心理状態】 下落相場が続く中での下方への窓開けは投資家に恐怖感を与えます。このため買い建て玉の手仕舞い売りを進めて少しずつ下がります。数週間後に突然大きく上放れて寄付きますが、期待むなしく大陰線となって終わり、再度失望しています。
【相場の読み方】 買い建て玉が手仕舞される一方で、値頃感も出てくるので新規買いも増え始め数週間はもみ合い相場が続きます。そこで突然上放れて寄り付きますが、これはデマ・噂を含めて好材料だ出現したものと思われます。しかしこの材料が公式に否定され、新規買いをした投資家や塩漬けとなっていた投資家が好機と見て売りに出すことから、一気に供給過多となり大陰線を形成したものと考えられる。これにより持ち値の悪い買い建て玉も消滅したと思われ、きっかけ次第では相場が反発する準備が整ったと言える。買い仕込みのチャンス。

A11.やぐら底(やぐらぞこ)

  【足型の特徴】 相場の下げ途中で、大陰線が現れ、しばらくもみ合い相場が続いた後、突然大陽線が現れたもの。
【心理状態】 投資家の大口の投売りなどから大陰線となる。その後は、手仕舞い売りと新規買いがバランスし、もみ合い相場が続いた。そんな中、突然に大陰線が現れ、投資家は今後のさらなる上昇に自信を持ち、買い注文を入れ始めます。
【相場の読み方】 大陰線の形成とその後のもみ合いで、市場にあった持ち値の悪い買い建て玉はほぼ解消されたものと考えられる。また、これにより株価はファンダメンタルズ(本質的価値)から大幅に下方へ乖離しているとも間がえられる。よって、好材料により上昇しやすい環境が整ったといえる。買い仕込みのチャンス。

A12.小幅上放れ黒線(こはばうわばなれくろせん)

  【足型の特徴】 安値圏でしばらくもみ合い相場が続いた後、小さな窓を開けた陰線が上方に現れたもの。
【心理状態】 安値圏であるものの相場はなかなか上昇の兆しが現れないので、投資家は諦めやしらけたムードである。そんな折、突然に上放れて寄り付いたことで、投資家の不安は一時払拭されるが、更なる上昇については依然として懐疑的であり、上値では売りを持ち込んでくる。
【相場の読み方】 安値圏で小幅なもみ合いを続ける相場は厄介です。既に買い建て玉を持っている投資家も新規に購入した投資家も、安値圏であり上昇を期待するため手仕舞いに踏ん切りがつかず、様子見となる。つまり、市場には相当量の買い建て玉が存在していると考えるべき。だから、上放れて寄り付いたときには、買い増しよりも買い建て玉解消売りのほうが多くなったと読める。この先は、上がろうとすると売りが持ち込まれやすく、小幅な上昇はあり得るものの、力強い反発は期待できない。打診買いのタイミングはあるが上値が重いようならいったんは手仕舞うほうが無難。

A13.放れ七手の変化底(はなれななてのへんかぞこ)

  【足型の特徴】 相場の下げ途中で下方に窓を開け、しばらく弱持合い相場が続いた後、今度は上方に窓を開け陽線が現れた一連の過程。
【心理状態】 下落相場のが続く中での下方への窓開けは投資家に大きな失望感を与えます。投資家はやむなく買い建て玉を売りはじめ、相場は軟調に推移した。その数週間後に突然上放れて寄り付きそれが陽線で終わったことから、まだ持っていた投資家は安堵すると共に、新規買いを入れる投資家も現れる。
【相場の読み方】 下方への窓開けが生じれば、投資家は下値不安からこれまで以上に買い建て玉の処分売りを進めることとなる。その一方で値ごろ感も出始め新規買いとのバランスで軟調地合いが続く。その後の上放れた寄り付きは、前週末にデマ・噂を含めて好材料が出たためと思われる。持ち値の悪い買い建て玉は概ね解消したであろうが、それらの売り注文の中には新規買いを出動させた投資家に吸収されたものも多いはずである。従って、買い建て玉の市場残存量にあまり変化はなく、上放れ陽線の効果が薄れれば、上昇の勢いを失うことになりかねない。打診買いのタイミングはあるが上値が重いようならいったんは手仕舞うほうが無難。

A14.連続下げ放れ三つ星(れんぞくさげばなれみつぼし)

  【足型の特徴】 相場の下げ途中で下方に窓を開け、しばらく弱持合い相場が続いた後、下げ離れの週から数えて4週目がクロスとなり、その翌週に大陽線が現れた一連の過程。
【心理状態】 投資家は失望感を抱きながら相場の成り行きを見守っています。煮詰まった相場がクロスを出現させたところに、支援材料が出現して急反発、買い注文が殺到し大陽線が出現。投資家は大きく自信を取り戻し、上昇期待を強める。
【相場の読み方】 下方への窓開けが生じれば、投資家は下値不安からこれまで以上に買い建て玉の処分売りを進めることとなる。その一方で値ごろ感も出始め新規買いとのバランスで軟調地合いが続く。4週目のクロスは次のように解釈できる。下放れた直後は売りと買いが釣り合うが、なかなか相場の方向を決める要因が出てこない。そのうち売り手の注文も一巡し、値頃感からの買い注文も細ってくる。即ちクロスの出現は新たな材料を待つなどの様子見姿勢を強めていることを示す。そんな折に出現した支援材料で、投資家からの新規の買い注文が殺到することで大陽線が立ち、相場はその後も力強い上昇をする。買い仕込みのチャンス。

A15.逆襲線(ぎゃくしゅうせん)

  【足型の特徴】 相場の下落途中で、窓を開けて下放れた大陽線が現れたもの。
【心理状態】 失望感が漂う中、突然悪材料が出た。投資家は慌てて一斉に買い建て玉を売りに出した。相場は引けにかけて値を戻すが、更なる上昇には確認はない状態。
【相場の読み方】 このときの悪材料はデマ・噂の類であったと思われる。徐々に下げていくことで恐怖心はつのる中、突然の悪材料でパニック的に成り行き売り注文を出した。相場は大きく下げるが、間もなく関係筋から悪材料を公式に否定する見解が示され、値が戻った。
一方でこの大陽線が前週の終値より窓を開けて低いことには注意が必要である。投げ打った投資家が買い戻した場合も新規に買った投資家もいるが、相場の継続的な上昇には懐疑的な投資家も存在する。その投資家からの売り注文で頭を押さえられ、前週越えることができなかった。「火のないとことに煙は立たず」で懐疑的な見方をする投資家はしばらく居り、信頼を取り戻すにはしばらく時間がかかる。打診買いのタイミングはあるが上値が重いようならいったんは手仕舞うほうが無難。

A16.抱き陽線(ようせん)

  【足型の特徴】 相場の下落途中で、小陰線の翌週に、その小陰線を包む形で大陽線が現れたもの。
【心理状態】 下落相場が続く中、投資家は失望感を抱きながら買い建て玉の売りを進めてきた。突然の大陽線で安堵感をもたらし、相場の反発期待感を高める。
【相場の読み方】 比較的自然体での反発局面といえる。特段の好材料もないまま、相場はジリ安傾向を続ける中、好材料の発表や今まで市場を支配していた悪材料の払拭により急反発。特にこの足型が安値圏で出現した場合は、高値をつかんでしまった投資家の買い建て玉はほぼ解消していると考えられ、大陽線を好感した新規の買い注文が次第に相場を押し上げていく。安値圏での出現は、買い仕込みのチャンス。

A17.寄り切り陽線(よりきりようせん)

  【足型の特徴】 下落相場の途中もしくは安値圏で、突然「陽の丸坊主」や「陽の寄り付き坊主」が現れたもの。
【心理状態】 下落相場もしくは低迷相場が続き、投資家は失望感を抱きながら買い建て玉の売りを進めてきた。新規の買い注文はあまり入らず相場は軟調に推移してきた。そんな折、突然の大陽線の出現で、強い上昇期待感を高める。
【相場の読み方】 長期低迷相場の突然の盛り上がりを見せた典型例。大陽線までに期間が長いほど市場の買い建て玉の残高は減少しているといえる。特段の材料もなく投資妙味に欠ける銘柄として蚊帳の外に置かれていたものが、些細な好材料でもきっかけとなり、注目を集め始め脚光を浴びる。この場合、相場の上昇と共に買い注文の増加していくため、大幅高を期待できる。安値圏での出現は、買い仕込みのチャンス。


上昇相場の幼少期のローソク足形

B1.赤三兵(あかさんぺい)

  【足型の特徴】 安値圏で持ち合い相場が続いた後、小陽線が3本連続して出現したもの。
【心理状態】 しばらく安値圏での取引が続いたため、投資家の興味の対象外となっていた。そんな中、陽線が3本連続するが、このまま上昇が続くかわからず、相場の成り行きを見守っている。
【相場の読み方】 決め手となる材料がないままに持ち合い圏を抜けてくる場合もある。値頃感からの打診的な買い注文が寄せられたり、一部には情報を掴んで買いを入れている投資家もいるかも知れない。しかし、大部分の投資家は原因がわからないため様子見をするが、市場の買い建て残高は非常に少ないため、待ち構える水準まで上昇を続ける。買い仕込みのチャンス。

B2.下位の陽線五本(かいのようせいごほん)

  【足型の特徴】 長期間の低迷相場が続くとき、陽線が5本連続して出現したもの。
【心理状態】 しばらく安値圏での取引が続いたため、投資家の注目度合いは低かった。そんな中、陽線が5本連続で立てば、臭覚の鋭い投資家は気づき始めるが、このまま上昇が続くかわからない。一方、おおかたの投資家は長期低迷のため埒外となっている。
【相場の読み方】 基本的には赤三兵と同じ。長期にわたる低迷相場のため買い建て玉は消滅していると考えられる。注目度はまだ低く、相場を支援する情報が多くの投資家が知るころには相場は随分と上昇したものになる。相場が安値圏での持ち合いを上放れてくる局面では打診買いを行っておくとその後の相場を追いかけやすくなる。買い仕込みのチャンス。

B3.押さえ込み線(おさえこみせん)

  【足型の特徴】 上昇相場の初期段階で、突然上放れて寄り付いたあと陰線で引け、続いて2本の陰線が「連続線」となり、その次には前の引け値より上位で寄り付き陽線になった一連の過程。
※連続線: 前の足の実体範囲内で寄り付くものをいう。現状の相場の流れが継続することを示唆する足型。
【心理状態】 これまで上昇期待感を高めて買い進めてきたが、3本続けての陰線に狼狽売りをする投資家も出てくる。しかし、4本目に相場が大きく上昇することで、投資家の先高期待は一段と高まる。
【相場の読み方】 上昇過程で現れた3本の連続陰線は、比較的初期段階で買いを仕込んだ投資家の一部からの利食い売りによるものと思われる。一方で多くの投資家は、上昇相場が始まったばかりの局面では懐疑的な思いであり、はっきりと上昇トレンドを確認してから市場に参入してくるものである。技術的には、4週目の陽線の1週目の高値を越えたところが買い出動。買い仕込みのチャンス。

B4.上げの差し込み線(あげのさしこみせん)

  【足型の特徴】 上昇相場の初期段階で、上放れて寄り付いたあと陰線で引け、その翌週は逆に下放れて寄り付き陽線を立て、前週の陰線の実体内で収まった一連の過程の足型。
【心理状態】 突然の陰線に投資家は戸惑うが、相場は即座に切り返したことで、安堵感が広がるとともに上昇期待感を高め、継続的に買い注文が寄せられる。
【相場の読み方】 投資家を不安にさせるデマや噂が出回ったか、過去水準の節目としての利食い売りにより、一時的に押し込みが入ったため陰線が形成したと思われる。陰線の翌週の寄付きでは、下放れたことは成り行き売りが多かったことを表し、その後の上昇はデマや噂が公式に否定されたことで陽線となった。上昇初期相場では、多くの投資家が今後の上昇に確信があるわけではないため、些細な悪材料で弱気になるもの。しかし、一部の投資家は利食い、市場の買い建て玉は軽くなっており、ひとたび上昇に転じると相場は弾みがつく。買い仕込みのチャンス。

B5.上げ三法(あげさんぽう)

  【足型の特徴】 上昇相場の初期段階で、大陽線が現れ、続いて3本の陰線がその大陽線の実体内に収まる「連続線」となり、次に再び大陽線を立て一挙に3本の陰線を上抜いた一連の過程。
【心理状態】 大陽線が出現したにもかかわらず、以降は陰線が連続し、投資家は不安になっている。そんな折、大陽線が立つことで、先の押さえ込みは「利食い売りのため」であったなどと理由に納得し、さらに上昇の期待をもち積極的に買い注文を入れ始める。
【相場の読み方】 緩やかに上昇をはじめていた相場に、注目していた投資家の待ちに待っていた強力な支援材料が現れ、1本目の大陽線が立ったと考えられる。
一方、予め仕込んでいた投資家は大幅に上昇したことから利食い売りを持ち込むため1本目の陰線が現れる。その後も上値が重いようであれば相場は調整し緩やかな下落を見せる。
ここで重要な点は、3本目の陰線の終値が1本目の大陽線の安値を下回っていないことである。それは、多くの投資家がその材料を相場の上昇に値すると認識しており、押し目での強い買い圧力が存在することを示している。買い仕込みのチャンス。

B6.カブセの上抜け(かぶせのうわぬけ)

  【足型の特徴】 「カブセ」とは比較的長い陽線の翌週に上放れて寄り付いて反落し、陽線の実体に食い込んで引けた陰線を指す。「カブセの上抜け」は上昇相場の初期に現れたカブセを陽線が上抜く一連の過程をいう。
【心理状態】 カブセが出現して経過と共に投資家の失望感がつのるが、直近の高値が更新されることで投資家は自信を取り戻して買い注文を入れ始める。
【相場の読み方】 上昇相場の初期段階で利食い売りなどが入り、相場は一時的に反落ししばらくもみ合ったが、次第に押し目での買い圧力が勝り、反発していった。高値圏での出現するカブセは反落のサインであり、その出現位置には注意が必要。買い増しのチャンス。

B7.上伸途上の連続タスキ(じょうしんとじょうのれんぞくたすき)

  【足型の特徴】 「タスキ」とは上昇相場であれば陽線に続いてその実体内で寄り付き陰線を形成するもの(下降相場では逆)をいう。上昇相場で連続陽線にタスキをかけたものが「上伸途上の連続タスキ」である。
【心理状態】 タスキがかかった際の下落は一部の投資家の利食い売りによるその下落が止まれば上昇期待感は維持される。
【相場の読み方】 タスキは一般にそれまでの相場の流れを加速する。特に上昇初期段階では、「需給バランスは需要過多」状態ではあるものの大幅高を期待する投資家は少なく適宜利食い売りが持ち込まれる。「押し目を拾って跳ねたら売る」という買い回転が効きやすく、市場には持ち値のよい投資家が多く存在するため、相場の値動きは安定している。一方で、買いそびれた投資家は押し目を狙うものの思うほどには下がらず、やがてこの投資家が上値を追って買いを入れ始めると相場は一段と押し上げられる。買い増しのチャンス。

B8.上放れタスキ(うわばなれたすき)

  【足型の特徴】 上昇相場の初期にマドを開けて上放れた陽線に陰線がタスキをかけたもの。
【心理状態】 ギャップアップ後の陽線に投資家の上昇期待は膨らむが、翌週の陰線でその期待感がやや冷めます。しかし、その下落幅が小さかったことで投資家は安堵する。
【相場の読み方】 市場参加者に好感される良い材料が現れたことでマドを開けた陽線が立った。翌週のタスキは一部の投資家からの利食い売りによるが、それが一巡すると相場は少しずつ上昇していく。多くの投資家は押し目を待っており、マドを開けた価格まで下がれば積極的に買い注文を入れ始める。買い増しのチャンス。

B9.上伸途上のクロス(じょうしんとじょうのくろす)

  【足型の特徴】 上昇相場の初期段階で大陽線に続いてクロス(十字線)が出現したもの。
【心理状態】 大陽線の出現で投資家は相場の上昇に自信を深める。翌週は更なる上昇を期待する投資家の買い入れと利食いの売りを入れる投資家の思惑が交錯しクロスが発生している。
【相場の読み方】 相場が突如、期待以上に大幅な上昇をすると、一時的に利食い売りが増加する一方、傍観していた投資家がこれに乗り遅れまいと参戦してくる。この互いの思惑がバランスしたことでクロスが形成されたと思われる。この場合、利食い売りが一巡してもなお買い勢力が衰えを見せなければクロスの翌週にも陽線が立つことになる。そして、この陽線によりさらに活気付き相場は一段と上昇していく。クロスに続いて陽線が立てば、買い増しのチャンス。

B10.上げの三つ星(あげのみつぼし)

  【足型の特徴】 「三つ星」とは相場の流れが一時的に止まり、小陽線・小陰線などが3本連続するもの。相場の上昇途中で現れた場合が「上げの三つ星」である。
【心理状態】 上昇相場が一段落し投資家のさらなる上昇期待も落ち着く。一部の投資家からは利食い売りも持ち込まれる。
【相場の読み方】 投資家の買い圧力は強い状態だが、特段の材料がなければ急騰や大幅高も予想しがたく、適宜利食い売りが持ち込まれる。また、投機筋が売りを仕掛けていればなおさら上値は重たくなる。しかし、相場の支援材料が現れれば、投資家は改めて買いを入れることに加えて投機筋も売り仕掛けを買い戻すこととなり、相場はもみ合いを上放れて上昇に弾みをつける。