一般に、リスクを抑えようとするとリターンは少なくなり、多くのリターンを求めるとリスクが高まります。リスクとリターンは表裏一体、セットになっています。投資において、「ローリスク&ハイリターン」の金融商品は存在しません。仮に「元本は保証されつつ、短期間で高いリターン得られます」などと紹介されたなら、それは詐欺であると考えるべきです。
株式を市場に上場している株の売買による投資については、どの銘柄の株も、価格(株価)は常に変動します。会社の業績悪化や経済環境が思わしくなかったりすると、株式の需給によっては株価が下がります。すなわち、損失が生じることが十分にあるわけで、さらには、投資した会社が倒産すると保有していた株の価値がゼロになることだってあり得るのです。ですから、株式投資は元本が保証される金融商品にはなり得ません。株価が値上がりしたときにはその分のリターンを得られますが、株価が値下がりしたときにはその分の損失を被ることになります。
債券とは、国や地方公共団体、企業などが「お金」を集めたいときに、投資家から「お金」を借りる。そのときに証書(現在はペーパーレス)を発行します。この証書のことを債券といいます。債券の発行者は、投資家に対し利子を支払いつつ、借りたお金を返す約束の日(償還日)には元本を返します。償還までの期間や利率はさまざまです。このような仕組みのものですから元本は保証されます。このことから、安全性の高い投資先に分類されまが、それでも、債券投資にもリスクはあります。
投資信託(ファンド)とは、「広く投資家から集めた『お金』をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する。その運用の成果で得られた収益を、投資してくれた投資家に分配する」という仕組みの金融商品です。「集めた資金」をどのように運用するかによってたくさんの種類の投資信託の商品があります。
リスクで分類してみると、「ローリスク・ローリターン」「中程度のリスクとリターン」「ハイリスク・ハイリターン」に分けられます。それは、比較的低リスクである「債券」や、ハイリターンを期待できるがリスクも高い「株式」を、商品の目的・特徴に合うように組み合わせるからです。
預貯金にどのようなリスクがあるのか?と思われたでしょうか。預貯金した「お金」は元本保証で、使わなければ通帳の残高は減らないし、確実に安心と思われているかもしれません。
※預金とは銀行などの金融機関に「お金」を預けること。貯金とは「お金」を貯めること、または郵便局・農業協同組合・漁業協同組合などに「お金」を預けること。ここでは両方を合わせて預貯金といいます。
普通預貯金や定期預貯金でも金利がとても低ければ、時間が経過しても元手はほとんど増えません。10年20年のスパンで考えても、僅かにしか増えないのであれば、インフレリスクを負っていることになります。「投資はしない」「現金しかない」状態では、インフレによって資産価値が下がるリスクを負っているのです。「投資をしないリスク」と言い換えることができると思います。